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エピソード―わたしと神経発達症
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周囲の理解について
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困っていること
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大人の神経発達症(発達障害)とは
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自分の特性を知る―医療機関に相談する
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大人の神経発達症(発達障害)の身近な相談窓口
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大人のADHD
(注意欠如多動症)
監修:小坂 浩隆先生(福井大学医学部精神医学 教授)
うっかり忘れてしまう。
ずっと座っているのが苦手。
思いついたらすぐに行動してしまう。

ADHDとは?
ADHDは、「不注意」「多動性・衝動性」を特徴とする神経発達症(発達障害)です。
ADHD:Attention-Deficit Hyperactivity Disorder(注意欠如多動症)
ADHDでみられる特性(例)
・不注意
集中を続けることが難しい、気が散りやすい、ケアレスミスや忘れもの・失くしものが多い、整理・片づけが苦手、段取りや時間の管理が苦手、など
・多動性ー衝動性
じっとしていられない、落ち着かない、しゃべりすぎる、順番を待つのが苦手、人が話している間に発言してしまう、思ったらすぐ動く、など
特性のあらわれ方や程度は、一人ひとり違います。不注意と多動性ー衝動性の両方がみられる場合もあれば、どちらか一方がみられる場合もあります。
ADHDの特性をセルフチェックしてみる
ADHDの原因、発生頻度など
ADHDには、生まれつきの脳の働き方の違いが関わっています。ドパミンやノルアドレナリンといった、神経伝達物質の働きの問題が関わることも分かっています。ADHDが生じる原因として、遺伝子や環境因子など、多くのことが影響しあっていると考えられていますが、まだ明らかになっていません。
ADHDは、子どもの約5%、成人では約2.5%に認められます。子どものころは女子より男子に多くみられますが、成人では診断がつけられる男女の割合はほぼ同じになるといわれています。
また、大人になると、子どものころに比べ、多動性や衝動性は減っていく傾向があります。
大人のADHD
大人のADHDでは、身の回りを整えること、金銭管理、子育て、仕事、人間関係などに困難を抱えていることがあります。
「仕事のミスが多い」「他のことに気を取られる」「頼まれていたことや約束を忘れる」「失くし物・忘れ物・遅刻」「計画的に物事を進めること(スケジュール管理・タスク管理)が苦手」などの困りごとが生じる場合もあります。
一方で、ADHDの特性によって、発想力や好奇心、行動力などの強みが発揮されることもあります。

ADHD当事者の経験、困りごとや思いをもっと知る
「苦手・困りごと」と「得意・長所」をもっと知る
大人のADHDの治療や支援
治療や支援は、あらわれる特性だけでなく、一人ひとりの困りごと、生活状況について十分に把握し、各々のニーズに合わせて行うことを目指します。
医療機関では、検査・診断や特性に応じた治療・支援などを行います。ADHDと診断された場合、学校や職場などの環境調整や行動療法などに加えて、薬物療法が行われることもあります。

治療や支援についてもっと知りたい
ADHDなど神経発達症(発達障害)の受診・診断についてもっと知る
大人のADHDなど神経発達症(発達障害)の治療や支援を知る
相談窓口をもっと知る
大人のADHDへの対応
大人のADHDでは、まず自身の行動特性を理解することが大切です。例えば、繰り返して遅刻する場合も、「夜更かし」「前日に用意をしていない」「朝の支度に時間がかかる」など、どのような問題点があるのかを明らかにして、対応します。
また、多くの仕事が同時に重なる「マルチタスク」の状態が苦手なことも多いです。時間のかかる案件は先送りにせず、早めに準備をする習慣をつけることや、一緒に仕事をする周囲との協力体制を作ることも重要です。
空間配置や音響対策の工夫などで、できるだけ注意力を保ちやすい環境を作れるか、職場や家族など周囲の協力も大切です。
工夫の一例
自分自身の工夫
・スマートフォンのスケジューラー機能、アラーム機能などを使う
・課題の一覧(ToDoリスト)を作り、前の課題がどこまで進行したかをはっきりさせる
・必要なものはすべて手元に置いておくか、常に持ち歩く
・デスクに余計な物を置かない。座席は余計な情報が目・耳に入りにくい位置を選ぶ
周囲の人の工夫
・指示は口頭より、指示した内容が残る文書(メモ、メール)で伝える
・締め切りや約束は、余裕を持って伝える
仕事や生活の中でのちょっとしたコツやテクニックを知る
引用・参考文献
- ・国立障害者リハビリテーションセンター 企画・情報部 発達障害情報・支援センター:発達障害の理解のために
https://hattatsu.go.jp/notice/notice202108-01/(2024年10月2日アクセス) - ・ADHDの診断・治療指針に関する研究会 編: 注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン 第5版. 第1-4章. 株式会社じほう, 2022,
- ・国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所:こころの情報サイト 発達障害(神経発達症)
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=MbkmLbVbTEhSpxyE(2024年10月2日アクセス) - ・厚生労働省 e-ヘルスネット:ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-003.html(2024年10月2日アクセス) - ・国立障害者リハビリテーションセンター(発達障害情報・支援センター)、国立特別支援教育総合研究所(発達障害教育推進センター)ほか:発達障害ナビポータル:注意欠如多動症
https://hattatsu.go.jp/supporter/healthcare_health/about-adhd-2/(2024年10月2日アクセス) - ・政府広報 大人になって気づく発達障害 ひとりで悩まず専門相談窓口に相談を!
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202302/1.html(2024年10月2日アクセス) - ・岩波明: 職場の発達障害. PHP研究所, 2023